勉強に取り掛かるのに時間がかかる… 子どもがやる気になるヒントを、プロがアドバイス!
- MASAO SAKUMA
- 2024年12月4日
- 読了時間: 5分
学校や宿題、塾、習い事と忙しく過ごす子どもたち。共働き世帯の親も多く、なかなかこまめにフォローするのが難しいなかで、子どもの時間管理はどうすればいいのでしょうか? 教育評論家の石田勝紀さん、筑波大学附属小学校国語科教諭の白坂洋一さん、中学受験専門塾「伸学会」代表の菊池洋匡さん、脳科学者の加藤俊徳さんの4人に教えてもらいました。「AERA with Kids2024年秋号」(朝日新聞出版)から紹介します。
■勉強への取り組み
――声をかけると「しようと思っていた!」と言われます(小3女子)
勉強の「オフスイッチ」と「オンスイッチ」は両方とも環境として親がつくらないと子どもはできるようになりません。子どもの時間感覚は、親が「今は思い切り遊ぼう」「〇時から宿題だね」といった「時間を意識する親の声かけ」とともに育っていきます。そして一日の終わりに時間通りに動けた、うまくいかなかったなど「時間に関する振り返り」を大事にしてみてください。(加藤さん)
――学校から帰ってきて勉強せずにダラダラしています(小1女子)
どんな勉強をするのか、いつするのか、どれくらいするのかなど、勉強ひとつでもいろいろ要素があってつい腰が重くなるもの。例えば「予定の時間通り始められたらボーナスポイント〇点」とか。小さなタスクをクリアするごとにポイントがもらえて、〇点いったらごほうびがあるなど、勉強の取り組みそのものをもう少しゲームっぽくすると、やりやすくなるのでおすすめです。(菊池さん)
――勉強に取り掛かるのに時間がかかります(小2男子)
子どもが夢中になるものって、将来役に立つものではなく、今楽しいものですよね。まじめに勉強させようとするよりも、勉強を楽しくする工夫をしてみましょう。例えば計算一つとっても、親子きょうだいでハンデをつけながら競争にすると、子どもは盛り上がりますよ。ぜひやってみてください。(菊池さん)
子どもはその時その場所で思っていることを元に動いてしまうので、自分自身を客観的に見ることが難しいのです。時間感覚はまさに「自分を振り返ることができる力」とともに身についてきます。大抵の子どもは自分自身を振り返ることが未熟な状態。その場合はまず好きな時間、楽しい時間のベースがあって、「勉強をする時間」を設ける。勉強も「好きな教科からやる」と「好き」の上に載せる感じで進めてみてください。(加藤さん)
■勉強時間と睡眠
――やり始めるまで時間がかかり、寝るのが遅くなります(小5女子)
勉強は始めるときに一番力を使います。自転車はこぎ始めが一番ペダルが重いのと同じです。ですから、取り掛かりが遅い子は、取り掛かりやすい好きな教科から始めるのがオススメ。そして徐々にエンジンがかかってきたら、苦手な科目に移るようにするとやりやすいですよ。私もそうしていました。(菊池さん)
■親が忙しい
――共働きで宿題を見る時間がない(小5男子)
仕事をしていると帰ってすぐ食事の支度など家事に追われますよね。低学年なら、親が食事の支度をしているそばで安心して宿題ができるようにしてください。中学年以降なら、子どもと宿題について相談して、任せてみましょう。ごはんができるまでに終わっていたら、大いに褒めてあげましょう。(白坂さん)
■スケジュールのやりくり
――ほかの習い事と兼ね合いが難しい(小4女子)
月曜から日曜まで、1週間単位で全部書き出してスケジュールを「面積で見える化」するのが大事です。そのときに宿題などの勉強作業は、どれぐらい時間が必要で、どこでどれぐらいやるのかを親子で一緒に見ましょう。時間がブロックで見えるようになると「時間のある・ない」も見えてきます。パターン化すると子どもも動きやすくなります。(石田さん)
――丁寧にじっくりやるタイプでいつも時間切れになります(小4女子)
子どもが1問1問じっくり考えていると、親は「時間がかかって効率が悪い」と悩みがちです。しかし「丁寧だけど時間がかかる」ではなく、「時間がかかるけど丁寧」と親が見方をポジティブに変えることで、それが強みとなり、子どもの自信につながります。(菊池さん)
――集中力がなく、少し勉強したらすぐ休憩します(小5男子) 能力的な限界を超えているのか、あるいは「どうせ終わらないし、頑張ったって損だよね」みたいに思っているのか……。高学年なら聞いてみたら理由を教えてくれるのでは。過去には、「時間が余ったらこっちも解いてみる?」と親がさらに問題を出すのが嫌だった、という子どももいました。「早く終わらせられたら、その分遊ぶ時間が増えるよ」など、終わったらいいことがあるぞという作戦を立ててみてはどうでしょう。(菊池さん)
(取材・文/AERA with Kids編集部)
○石田勝紀/教育評論家 。教育デザインラボ代表理事。2016年からカフェスタイルの勉強会「Mama Cafe」を展開。全国で年間130回以上、累計1.3万人以上のママたちが参加。 ○白坂洋一/筑波大学附属小学校国語科教諭。全国国語授業研究会副会長。『例解学習漢字辞典』(小学館)編集委員。『子どもを読書好きにするために親ができること』(小学館)など著書多数。
○菊池洋匡/中学受験専門塾「伸学会」代表 。「自ら伸びる力を育てる」というコンセプトで独自の授業を実施。最新刊に『小学生のタイパUP勉強法 小5までに身につけないとヤバい! 』(実務教育出版)がある。
○加藤俊徳/株式会社「脳の学校」代表。脳科学者。小児科専門医。加藤プラチナクリニック院長。『思考のクセがわかる!脳のメカニズムについて加藤俊徳先生に聞いてみた』(Gakken)ほか著書多数。
AERA with Kids編集部
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